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開催概要

いま、蔵王から

2014年の第1回開催以来、6回目を数える「みちのおくの芸術祭 山形ビエンナーレ2024」は、初めて、蔵王温泉と東北芸術工科大学を会場に実施することに決定しました。2020年より医師の稲葉俊郎先生を芸術監督としてお迎えし、「山のかたち、いのちの形」(2020)、「いのちの混沌を越え いのちをつなぐ」(2022)をテーマに開催してきた本芸術祭に対して、西暦110年開湯といわれる蔵王温泉は、1900年余りの長きにわたり、人びとの心身を癒し、まさしくいのちを育む場所としてその歴史を刻んできた土地にほかなりません。

そうした日本有数の温泉地で開催される山形ビエンナーレ2024のテーマは、「いのちをうたう」。この「うた」のイメージを私たちにもたらしたのは、1882年、蔵王連峰を望む山形県南村山郡金瓶村(現・上山市)に生まれ、医師として働く一方、生前17冊の歌集を発表し近代文学に大きな足跡を残した歌人・斎藤茂吉(1882-1953)の存在でした。斎藤茂吉が詠んだ17,000首を超える短歌には、蔵王についての歌も多く含まれ、それらは、この土地とそのただ中で生きた人のすがた、感情を今にありありと伝えています。

本芸術祭は、温泉も含めた蔵王の風土、そして斎藤茂吉をはじめとする蔵王で生まれた芸術文化からも大きなインスピレーションを得ながら、この時代の「いのち」と「うた」について、4つのプロジェクト——「ひとひのうた」「山と土と茶と」「現代山形考~山はうたう~」「SUMMER SCHOOL」——によって表現するものです。名湯が点在するまちなかで、訪れた皆さまのいのちを養う芸術祭に、ぜひご期待ください。いま、蔵王から、ともに「いのち」を「うた」いましょう。

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総合キュレーター

小金沢智

東北芸術工科大学専任講師

いのちをうたう

2020年からはじまった感染症の流行は、地球があらゆる生き物の共生の場であることを突き付けました。人類含め、すべての生命は地球という船の乗組員です。地球内部には高温のマントル層があり、巨大な熱エネルギーは温泉へと形を変え、古来から私たちに安らぎを提供してきました。固く不自由になりがちな頭と身心をゆるめ、優しくほどいてくれます。山形の温泉も、身心や魂の治癒を起こす湯治場として人々が集う重要な場でした。

山形ビエンナーレ2024では、温泉の力を借りて固くなった体と心を「ほどき」、自由な感覚を開いて会場を「めぐり」ます。頭ではなく芸術を全身で体験するために。アーティストも場の力を借りてあなたの無意識を活性化させます。聞こえてくる「いのちのうた」に耳をすませてください。「いのちのうた」は山形の土地からも、あなたの内部からも聞こえてくるはずです。会場では「ことば」が無意識界で得たエネルギーを意識界へと運ぶ役割を果たします。夜には山形に泊まり、星や月、宇宙の彼方を見ながら、より深い階層まで「ねむり」ましょう。内部にある未開の無意識の森を旅してください。深い「ねむり」により、失った自分の全体性を取り戻し新しい自分が「めざめ」ます。

山形という場に集い、かけがえのない時を共有することで、人々と山形という場、そして時とが交歓しあい、新しい人が「めざめ」るのです。

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芸術監督

稲葉俊郎

医師

等身大のいのちを見つめ直す芸術祭に

本年は、年始に能登半島地震が石川県能登地方を中心に襲いました。亡くなられた方々のご冥福を祈るとともに、被災された皆さまに謹んでお見舞いを申し上げます。
今年で6回目を迎える山形ビエンナーレは、2011年の東日本大震災を大きな契機として、当時開学20年余りを経た公設民営の東北芸術工科大学(山形県山形市)が、「地域に対し、アートとデザインで何をなすことができるのか?」という問いのもと始まった芸術祭です。これまで、山形市街地を中心に開催してきた芸術祭は、このたび、メインの舞台を「蔵王温泉街」(山形県山形市蔵王温泉)に移します。
山形県民のみならず、全国各地や世界の国々からの観光客で賑わう蔵王温泉街の各所に、アートやデザインの展覧会を展開する初の試みですが、2024年の現在、「いのちをうたう」をテーマとして、若いクリエイターたちの作品や様々なプロジェクトを蔵王温泉でご覧いただくことに、大きな意味を感じています。
1900年の歴史を持つといわれる蔵王温泉のエネルギーには、いにしえから数多くの人々が魅了され、その中には歌人・斎藤茂吉、実業家・白洲次郎、芸術家・岡本太郎などの現代の日本文化に大きな影響を与えた著名人たちも含まれます。今回参加するアーティストたちも同じく、この場所で感じたことを作品化しています。そんな蔵王温泉街をのんびりと散策し、温泉につかり、斎藤茂吉の歌碑を巡りながら、ゆっくりと現代の創作に触れる、そんな体感型のアートフェスティバルにしたいと思っています。
年の初めから大きな災害に見舞われた日本ですが、一方、世界では戦乱が長期化し、地球温暖化も加速しています。そのような中ではありますが、「いのちをうたう」と題されたこの小さなアートフェスが、マインドを解放し、等身大のいのちの営みを見つめ直していただく機会となれば幸いです。

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総合プロデューサー

中山ダイスケ

東北芸術工科大学学長

メインヴィジュアル

温泉の源、マグマの赤い色がキーカラーです。蔵王に縁あるものたちが、いのちをうたいます。地熱を感じて、顔を赤くして、顎が外れるくらいみんなが思い切りうたえれば、きっとそれは素晴らしい芸術祭です。

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アートディレクター

杉の下意匠室

デザイン事務所

開催概要

名称
みちのおくの芸術祭 山形ビエンナーレ2024

テーマ

​いのちをうたう

会期
2024年9月1日(日)〜16日(月・祝)

会場
蔵王温泉、東北芸術工科大学

参加料
無料/一部有料プログラムを予定

主催
東北芸術工科大学

特別協力

蔵王温泉観光協会

後援

山形県、山形市、山形県教育委員会、山形市教育委員会(予定)


総合プロデューサー
中山ダイスケ(東北芸術工科大学学長)

芸術監督
稲葉俊郎(医師)

総合キュレーター
小金沢智(東北芸術工科大学専任講師)

ディレクター

アイハラケンジ(アートディレクター/グラフィックデザイナー)、青山ひろゆき(東北芸術工科大学教授)、安達大悟(東北芸術工科大学准教授)、岩井天志(東北芸術工科大学教授)、深井聡一郎(東北芸術工科大学教授)、三瀬夏之介(東北芸術工科大学教授)、宮本晶朗(東北芸術工科大学准教授)

アートディレクター
杉の下意匠室

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